ABM/インサイドセールス- 「提案営業」で解決!?営業マンは売上責任を本当に負うべきか?

営業スタイルを見直そう!「売上責任」をどう考えるべきか?

営業現場でよく耳にする「営業マンは売上責任を持つべきだ!」という意見。
皆さんはどう思いますか?
多くの方が「当たり前だよね」と思うかもしれません。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?
そのやり方、本当に成果につながっているのでしょうか‥?

営業現場では、売上目標をそのまま個々の営業担当者に押し付けるケースが少なくありません。結果として、「なぜ達成できないのか」ばかりを問われ、原因究明や改善策の検討が二の次になっていることが多いのではないでしょうか。
本記事では、ABM(アカウントベースドマーケティング)やインサイドセールス、そして「提案営業」を軸に考えながら、営業目標の設定や管理方法を再考し、実践的な改善ポイントをお伝えしていきます。

「売上目標=営業担当者の責任」と考える前に、「売上責任」を誰がどのように負うべきか?行動指標へのブレイクダウン方法や、成果につながる営業プロセス改善のヒントを探っていきましょう!

【記事の概況】
・営業マンに売上目標のみを与えると、具体的な行動指針が不明確で達成困難
・BtoB提案型商材など、営業難易度の高い領域では行動目標のブレイクダウンが重要
・ABM視点やインサイドセールス手法を取り入れ、アポ数・提案数など行動指標を設定
・新規開拓、リードジェネレーション、ナーチャリングを活用し、成果につなげる
・最終責任は上司が負い、営業担当者は行動基準に沿って一歩ずつ成果を積み上げる
・行動ベース目標は営業現場の目標管理を進化させ、最終的な売上達成につながる

執筆者略歴

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。

1.営業マンは売上責任を持つべきなのか?

ある企業の代表者が嘆いていました。
「今月は一人あたり1,000万円の売上が必要なのに、ウチの営業マンは半分程度で目標を出してきている!」と、怒りと落胆が入り混じった声です。
しかし、こうした声は珍しくありません。
どの会社でも「売上目標」と「営業担当者の責任」に関する悩みは絶えないものなのです。
しかも近年では、BtoB提案型商材(無形商材で、説明が複雑で、販売に時間がかかり、価格も高い)のような、営業難易度が高い領域が増えてきました。
こうした複雑な商材を扱う現場で、単純に「売上」という最終成果だけを営業担当者個人に背負わせるのは、本当に合理的なのでしょうか?

そもそも、「売上を上げるのが営業マンの仕事である」というこの常識は近年変わりつつあります。
もちろん、営業担当者は売上に貢献する重要な役割を担っています。
しかし、最終的な売上目標達成(「1,000万円売ってこい!」)という結果だけを個々人に負わせてしまうと、営業マンは「どうすればよいのか分からない」状態に陥ってしまいます。
売上という成果は、次のようなプロセスの積み重ねで成り立っています。

1. リードジェネレーション➖見込み顧客を見つける
2. 新規開拓➖アプローチをして繋がりを作る
3. ナーチャリング➖見込み顧客を育てる
4. 提案営業➖お客様の課題を解決する提案を行う
5. 契約➖受注ゴール!!

これらのプロセスが整っていないと、いくら「売ってこい!」と言われても動けません。サッカーで例えるなら、フォーメーションやパス練習なしで「とにかくゴールを決めてこい!」と言われるようなものです。これではチームは勝てませんよね。

2.なぜBtoB提案型商材は営業目標が難しいのか

BtoB提案型商材は、一般的な消費財と違い、単純な価格訴求だけでは成約につながりません。
①製品・サービスの価値を理解してもらうための提案力
②顧客企業内のキーマンを特定し、そのニーズに合わせた情報提供
③購買プロセスの各段階で必要な資料やデモンストレーション
など、複雑な行程を丁寧に踏む必要があるからです。

BtoB提案型商材の営業では、「売上だけ」ではなく、具体的な行動目標が欠かせません。なぜなら、次のような特徴を持つからです。

⚫︎価値の説明が難しい  :価格よりも、どう役立つかを伝える力が必要。
⚫︎決裁者が多い     :複数のキーマンを説得しないといけない。
⚫︎導入決定に時間がかかる:慎重に検討するプロセスを踏む。

例えば、新人営業担当者に「1,000万円売上げる」というゴールだけを示したとしたら、
「どこから手を付ければいいの?」と頭を抱えてしまいますよね。

特に【法人営業】の交渉事では、担当者単独で判断ができる範囲を超える場面が発生しがちです。だからこそ、上司やチーム全体で「行動計画」を立て、【ABM】や【インサイドセールス】を取り入れて戦略的に動く必要があるのです。

3.売上目標をブレイクダウンせよ:営業活動工程の再定義

「売上目標」という最終成果だけを考えても、具体的に何をすればよいか分からないもの。そこで、売上までの流れを段階に分けて考えてみましょう。
例:売上1,000万円達成に必要なステップ

⚫︎リード獲得 :見込み顧客200件をリストアップ
⚫︎商談    :20件のアポイントを設定
⚫︎提案営業  :10件の提案を実施
⚫︎契約・受注 :5件の契約を目指す

このように段階ごとの目標を設定すれば、「まずは今月中に20件のアポイント獲得を目指しましょう!」と、より具体的な行動目標を設定することができます。
単なる「売上1,000万円を獲得せよ」という曖昧なゴールではなく、行動に紐づく指標を与えることで、担当者は「何を」「いつまでに」「どれくらい」行えば良いのかが明確になり、迷いなく動けるようになります。

4.ABM(アカウントベースドマーケティング)の視点から考える目標設定

近年注目されている【ABM】は、特定の顧客企業やアカウントに絞って、戦略的にアプローチする手法です。このABMを活用することで、画一的な目標振り分けではなく、より効果的な行動計画を立てることができます。

【具体例】
⚫︎「今月中に3件の提案書を作成し、来月までに1件の成約を目指す」
⚫︎「B社とのミーティングを月5回設定する」

つまり、ABMは売上目標を「成果物」そのものではなく、「達成するための過程」を可視化しやすくしてくれます。これによって営業担当者は「何をすべきか」を具体的に理解でき、上司やマネージャーも適切に進捗を管理・支援しやすくなります。

5.提案営業での実践例:行動指標が結果を導く!

ここで【提案営業】に着目してみましょう。
営業提案は、単なる商品の説明ではなく、顧客の課題を解決する提案を行うことが求められます。

【営業提案における行動目標の例】
・「今月中にA社へ新規ソリューションの提案を2回実施する」
・「B社の要望をヒアリングを3回行い、その結果を踏まえて次回提案を1回実施」

このように、明確な行動ベースの指標を設定することで、営業担当者は「とにかく売上を上げろ」という漠然としたプレッシャーではなく、「今週はA社に具体的な解決策を示す提案書を作成しよう!」と行動レベルで動けるのです。
結果として、これらの行動が積み重なり、最終的な売上につながっていくわけです。
提案営業は受注までのプロセスにおいて中盤以降のフェーズですが、そこに至るまでのリード獲得や顧客育成プロセスがなければ話になりません。こうしたプロセスを一歩ずつ管理・実行することで、担当者は「なぜ売上が上がるのか」を自分の行動から理解し、改善を重ねていくことができるのです。

6.法人営業でのスキル育成と上司の責任

法人営業は、決裁者が複数存在したり、長期的な検討プロセスが必要なケースが多いという特徴があります。
新人営業担当者が成果を上げるために「何をどうすれば良いか」を理解するには、上司や先輩の適切な指導が不可欠です。

・初回アプローチ(架電)方法
・アポイントの取得方法
・提案資料の作り方
・価格交渉の進め方…

これらは一朝一夕で身につくものではありません。

行動目標を設定し、達成度合いを定期的にフィードバックすることで、新人営業担当者はスキルを身につけ、徐々に提案営業や契約獲得といった後工程へとステップアップ・成長することができるようになります。
また、上司が責任をもってこのプロセスを管理することで適切なサポートや軌道修正が可能になり、結果として、最終的な売上達成が現実味を帯びてくるのです。

7.成果は誰が背負うのか?管理者の役割を再考しよう

冒頭で触れた「売上責任は営業マンが負うべきか?」は営業の大きなテーマですが、最終的な答えは「売上最終責任は、上司や管理職が負うべき」です。
売上には、企業全体の戦略やマーケティング、価格設定、提案リソースの整備など、営業担当者個人ではコントロールできない要因がたくさん含まれているからです。
上司が示した行動目標やプロセス管理をベースに、ひとつひとつのアクションを確実に実行することで、結果的に売上目標が達成されます。
それらの行動計画を立て、軌道修正を行うのが上司の責任なのです。
上司が「この施策でいこう」「この顧客層に重点を置こう」と戦略を描き、具体的なサポートを提供することで、営業担当者は安心して自分の役割に集中できるようになります。

8.実績データで見る行動ベース目標の有効性

「でも、行動目標に切り替えれば、本当に成果が上がるの?」
と疑問を持つ方もいるでしょう。

あるケーススタディでは、行動目標重視のチームが、成果目標(売上数字)のみで管理していたチームと比較して、アポイント獲得率が15%向上し、最終的な契約件数は20%増加したというデータがあります。
また、別の企業では、提案営業段階での行動目標(提案件数、顧客とのミーティング回数など)を明確化した結果、3ヵ月後に商談成立率が10%改善したとの報告もあります。
このように、行動ベースの目標が担当者を具体的な行動へと導き、それらが積み重なって成果を押し上げていることを示しています。

9.まとめ:営業現場の目標管理を進化させる

「売上責任を誰が負うか?」は、「どのように目標を設定・管理するか」と表裏一体です。BtoB提案型商材のような営業難易度の高い領域では、単純な売上ノルマを個人に渡すだけではうまくいきません。行動計画を明確にし、ABMやインサイドセールスの視点を取り入れ、提案営業などの各フェーズで必要な行動指標を定めることで、営業マンは迷いなく行動できるようになります。

・売上目標を具体的な行動に分解する
・ABMやインサイドセールスを活用して戦略的に動く
・営業提案では行動目標を明確に設定する
・社長や管理職が責任を持って育成を支える

「営業マンは売上に責任を持つべきか?」という問いに対して、「最終責任は上司が負い、営業マンには行動指標を与えるべき」という答えが、営業現場の新たなスタンダードになっていくのではないでしょうか。

さあ、皆さんのチームでもこのアプローチを試して、進化させてみませんか?
小さな行動の積み重ねが、大きな成果につながるはずです!

〈当社の特徴〉
1.アポイント獲得や商談実施への成果報酬型の料金体系
2.60%が1年以上契約する常連クライアント
3.メンバーの半数以上が5年以上の在籍、最長は20年。全員正社員。
4.既存顧客へのアンケートでは「営業品質が高い」「社内教育が徹底されている」との評価

執筆者情報 <プロフィール>

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。


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