BtoB営業の効率を最大化!ナーチャリングがもたらす「担当交代」の力

「営業担当者は固定すべき?それとも、状況に応じて変えるべき?」
皆さんは、この問いかけについてどう思いますか?
「担当営業はずっと同じ方が顧客との信頼関係が築きやすい!」と考える方もいるでしょう。一方で、「苦手意識が芽生えたまま同じ営業担当者がフォローしてもうまくいくのか?」と疑問を抱く方も少なくありません。
では、どちらが正解なのでしょうか?

BtoB営業の中でも特に、形がない、説明も複雑で、販売には長い時間を要し、価格も高いといった提案型商材の営業では、単純なプッシュ型の営業アプローチだけではなかなか成果につながりません。
こうした高難易度の商材では、「ナーチャリング」つまり、将来的な顧客化を見据えた継続的なアプローチやリレーションシップ構築が不可欠です。

しかし、定期的なアプローチの中で「もういらない」「電話するだけ無駄だよ」と、つれない返事を何度も受けてしまうと、営業担当者は次第に心理的な負担を抱え、行動にブレーキがかかってしまいます。
そんなとき、効果を発揮するのが「担当者を交代する」というシンプルかつ大胆な手法です。 先入観のない新たな営業担当者が、その顧客にもう一度アプローチすると、不思議なほど話がスムーズに進むこともあるのです!


「本当にそんなことで変わるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、実際現場では大きな効果を生むケースが多々あります。
今回は、ABM(アカウントベースドマーケティング)やインサイドセールスの手法を活用しながら、担当の固定化にとらわれず、顧客への再アプローチによって将来顧客を創出するナーチャリング戦略について考えてみましょう!

【記事の概況】
・担当者が同一顧客から繰り返し断られると、苦手意識が芽生えナーチャリングが停滞してしまう
・担当者を交代することで先入観のない再アプローチが可能となり、顧客の反応が改善することがある
・ABMやインサイドセールスの発想で顧客データを共有・活用し、担当交代を戦略的に実施していく
・BtoB提案型商材など難易度の高い営業領域で、担当交代が長期的な顧客育成(ナーチャリング)を後押しする
・組織全体で顧客理解が深まり、新たなヒントや将来顧客化のチャンスを掴みやすくなる
・担当固定の常識を疑い、状況に応じた柔軟なローテーションで新たな可能性を切り拓こう

執筆者略歴

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。

1.担当固定の弊害とは?「心理的な壁」がナーチャリングを阻止する理由

いくら将来顧客になる可能性があるとはいえ、「いまは全然必要ない」「もう電話しないで」と断られ続けると、営業担当者は人間ですから心理的な抵抗を感じてしまいます。
何度も同じ相手に断られたり、強く叱られた経験が蓄積されると、その顧客企業に対して「苦手だな」「もうアプローチしたくない」といった先入観や忌避感情が芽生えてしまいますよね。

BtoB提案型商材は営業難易度が高く、そもそも短期決戦で決まりにくいもの。
将来的な受注を見据えたナーチャリングが必要なのに、担当者が負の感情を抱えたまま接し続けることは、本来の潜在価値を引き出せなくする要因にもなります。
「このお客様はダメだ」と担当者が思い込めば、その先には新たなヒントや関係強化のチャンスがあっても気づかないまま終わってしまいかねません。

2.なぜ担当交代が有効なのか?「先入観ゼロ」のフラットなアプローチの強み

では、なぜ担当者を替えるだけで効果が出るのでしょうか?
答えはシンプルで、「先入観を捨て、フラットな状態で顧客と向き合えるから」です。

先ほどまで「ウチには要らない」と言われ続けていた顧客も、新しい営業担当者にとっては「まだ白紙の状態」の顧客です。

新たな担当者は、「過去に断られた」という情報を把握していても、自身がその場面で感情的な痛手を負っていないため、声色や話し方やアプローチの仕方が、自然とニュートラルな態度で接することができるのです。
その結果、顧客側も「前回と同じ人」という先入観なく話を聞いてくれる可能性が高まるので、ときには、前任の担当者が得られなかったヒントをあっさりと聞き出せることすらあるのです。

3.ABMとインサイドセールスで進化する「担当者ローテーション戦略」

ABM(アカウントベースドマーケティング)やインサイドセールスの手法を活用すると、担当交代の効果はさらに高まります。

ABMは、特定の顧客企業(アカウント)に重点を置き、その顧客ごとに最適化された戦略を展開する手法です。インサイドセールスは、主にオンラインや電話を通じて顧客と関係構築を図り、見込み客を効率的に育成する手段です。
両者を組み合わせて、顧客企業ごとの細かなやり取りをデータとして蓄積していきます。
この蓄積したデータを属人化させず、チームで共有することで、新たな担当者がスムーズに情報を引き継ぐことができるため、「これまで何を提案したのか」「なぜ断られたのか」といった背景を理解した上で、戦略的に再アプローチすることができます。

4.BtoB提案型商材の特性を活かす鍵担当交代が効果的な理由

BtoB提案型商材の営業では、複雑な購買意思決定プロセスが特徴としてあります。
顧客企業には複数のステークホルダーが存在し、意思決定までに時間がかかるため、短期的な売り込みや価格競争では成果を上げにくいのが現実です。
こうした商材では、「そのサービスはいま必要ない」と言われたとしても、それが「永遠に必要ない」というわけではありません。
市場環境や社内方針、リソースの状況は常に変化し、顧客のニーズや課題も時間とともに変わっていきます。この変化のタイミングで的確に介入するためには、継続的なナーチャリングが欠かせないのです。
その際、長期間にわたって苦手意識を抱えた担当者が対応し続けるよりは、新しい担当者がフレッシュな視点でアプローチしたほうが、顧客との関係を「再定義」しやすい環境が生まれます。これにより、停滞していたコミュニケーションが再び活性化する可能性が高まるのです。

5.実例データ:担当交代でアポイント獲得率がUP!

実際の営業現場でも、担当交代による成果向上が報告されています。
たとえば、あるBtoBソリューション企業では、1年間にわたって担当交代を取り入れたナーチャリング施策を実施。過去に明確な断りを受けた顧客群に対し、新しい担当者が再アプローチした結果、アポイント獲得率が従来比で約20%向上したという事例があります。
また、製造業向けサービスを提供する別の企業では、それまで一切反応のなかった顧客が、担当交代後の初回の電話で「詳しい話を聞きたい」と前向きな反応を示したケースも報告されています。
このように、担当交代は顧客にとって「新しい風」として好意的に受け止められる可能性があるのです。

6.「担当交代」を成功させるための実践的なポイント

担当をただ交代させるだけでは、十分な効果を得られません。
以下は、成功に導くための具体的なポイントです。

1. 顧客情報の体系的な蓄積と共有

前任担当者が記録した会話ログや接触履歴、顧客の業界動向や課題ヒアリング結果などを、新しい担当者がスムーズに引き継げる仕組みを整備します。

2. 事前準備を徹底する

新しい担当者は、過去のアプローチがなぜ失敗したのかを分析し、改善策を練ります。
たとえば、前任者が価格面でアピールしすぎて逆効果だった場合は、顧客課題を深掘りする質問型のアプローチに切り替える、といった具体策を用意します。

3. 小さな接点から再スタートする

最初から大きな提案を押し付けるのではなく、まずは軽いヒアリングや業界トレンドの提供など、ハードルの低い接点づくりから始めます。これにより、顧客に負担を感じさせることなく関係を再構築できます。

4. ナーチャリング視点を重視する

この時点で、すぐに売上を生み出そうと焦らないことが肝心です。
「将来の顧客」を育てる意識で、長期的な関係構築を目指します。新担当者はナーチャリング計画をもとに、徐々に顧客理解を深めながら適切なタイミングで提案営業へ移行します。
このようなステップを踏むことで、担当交代による成果を最大化することが可能になります。

7.担当交代がもたらす組織的メリット

担当交代は一見すると、個人レベルでは「苦手な顧客を回避する方法」に思えるかもしれません。しかし、組織全体で捉えれば、これこそが営業チーム全体の成長につながる重要なプロセスとなるのです。
なぜなら、様々な担当者が同じ顧客と接触することで、組織内に多角的な顧客情報が蓄積されていくからです。複数の営業担当者がそれぞれの視点で顧客と対話することで、顧客の意思決定プロセスや潜在的なニーズがより立体的に理解できるようになります。
この蓄積された知見は、次のような形で組織全体に還元することができます。

・ABM戦略のさらなる深化
・より効果的なナーチャリング施策の開発
・提案営業スキル全体の向上

担当交代は組織の営業力を底上げし、将来的な成長基盤を強化する役割を果たします。

8.担当固定は本当に必要?今こそ柔軟な体制づくりを!

「営業担当者は固定するべき」という固定概念は、現代の複雑なBtoB営業環境において最適解とは限りません。確かに、同じ担当者が長期的にフォローを続けることで信頼関係を構築する方法も有効です。しかし、担当者と顧客の間に相性の問題が生じたり、先入観や心理的な抵抗が関係性構築を阻む場合は、柔軟な体制変更が功を奏します。
特に、難易度が高く、高単価の提案型商材を扱うBtoB営業においては、顧客ごとの状況が大きく異なるため、一律の担当者固定制では対応しきれません。
ABMやインサイドセールスの視点を取り入れ、顧客を将来顧客として捉えるなら、担当交代による「関係のリフレッシュ」が強力な武器となります。

9.ナーチャリング×担当交代で生まれる長期的価値

最終的に、担当者の交代は長期的な関係づくり、すなわちナーチャリング戦略の一環として捉えるべきです。
「今は必要ない」と断られ続けた顧客も、市場や社内状況が変わることで、いずれ「必要かもしれない」と考える時期が訪れる可能性があります。
その「変わり目」を見逃さずに捉えるためには、関係が冷え込んだまま放置するのではなく、担当交代などを活用したリフレッシュで接触を継続することが重要だからです。
ナーチャリングは、アポイント獲得から受注までに時間がかかります。
だからこそ、一度の拒絶で諦めず、戦略的に担当者を入れ替え、常にフレッシュな関心を引き出せる体制を整えていけば、将来の大口顧客候補を確実に取り込むことができるでしょう。

まとめ:ナーチャリングの新たな可能性を広げる担当交代戦略

営業担当者を固定することには一定のメリットがありますが、BtoB提案型商材の営業においては、必ずしも最適な選択とは言えません。
むしろ、担当交代による「新たな視点の導入」が、顧客との関係性を再活性化させる重要な手法として注目したいところです。
新しい担当者が、先入観や心理的な負担を持たずにフラットな視点で接することで、停滞していた対話が再び動き出し、顧客との関係性がより強固になるケースも少なくありません。また、ABMやインサイドセールスを組み合わせれば、担当交代は属人的な対応から戦略的な施策へと進化します。
長期的な視点でナーチャリングを行い、顧客のニーズ変化や市場環境の変動に柔軟に対応することで、これまで逃していた大口顧客の獲得チャンスを生み出せる可能性があります。
「担当固定」という固定観念を乗り越え、営業体制の柔軟性を高めることで、未来の営業成果を最大化していきましょう!
皆さんの組織でも、「苦手顧客」をそのまま放置するのではなく、担当交代を活用して新たな風を吹き込み、今後の大きな成果へとつなげてみませんか?

〈当社の特徴〉
1.アポイント獲得や商談実施への成果報酬型の料金体系
2.60%が1年以上契約する常連クライアント
3.メンバーの半数以上が5年以上の在籍、最長は20年。全員正社員。
4.既存顧客へのアンケートでは「営業品質が高い」「社内教育が徹底されている」との評価

執筆者情報 <プロフィール>

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。


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