─ 高砂さんはどのような経緯で化粧品業界に入られたのですか?
高砂:天真堂に転職したのは2年ほど前なので、化粧品業界の経験はまだ浅いです。
以前はテレビショッピングの通販の会社で、コールセンターや物流などのフルフィルメント(商品の受注から決済に至るまでの業務全般)を担当していました。
天真堂の基盤の事業は、ずっと医薬部外品のOEMだったのですが、前社長が就任した当初は、自社通販でオールインワンジェルの販売も行っていました。
その時に、コールセンター・物流・ECなどのノウハウを積み重ねた経験から、新たに「ワンストップで、通販に必要な機能を全部一括で提供するビジネスモデル」を構築、コールセンターと物流を立ち上げることになったのです。
私は「コールセンターを立ち上げるので来てくれないか」と誘われ、こちらに転職しました。
─ こちらのサービスがスタートする時に一緒に作ってこられたのですか?
高砂:最初に物流が立ち上がり、次にコールセンターを立ち上げようというタイミングで参画しました。
今はコールセンターと物流の両方を兼務していますが、どちらかというと私の専門はコールセンターです。
現在、私の直属の上司や、他の会社から転職してきたメンバーなどと一緒に、コールセンターをよりよくするために試行錯誤しているところです。
─ 色々なところで経験を積まれている方たちが集まって、一緒にやっていらっしゃるんですね。
高砂:そうですね。
─ 御社は、以前からOEM事業を軸にされていますが、例えばお洋服のブランドが化粧品を販売したりと、化粧品市場も幅広くなって「化粧品=化粧品メーカー」だけではないですよね。
高砂さんが見ていらっしゃるコールセンターの中でも「市場が変わってきているな」と感じることはありますか?
高砂:新規で参入を考えているお客様が多いですね。
異業種のお客様から「新規事業のメイン商品として考えているんですが、委託できますか?」といったお問い合わせが増えているなと感じます。
その一方で、現在コールセンターを利用しているお客様は、専門で化粧品を開発していたり、以前からサプリメントを扱っているところなどが多いのですが、専門でやっているからこその「品質訴求」など、とても工夫されているなと思います。
─ 色んなご相談を受けるということですが、10社いらっしゃったら10通りの希望や目標がありますよね。「ちょっとこの内容は難しいな」というところには、どのようなアプローチをされるのでしょうか。
高砂:
当社としては「お客様と一緒に成長させていただきたい」という思いがありますので、物流やECなどを含めて、トータルでサポートさせていただくことを提案しております。
新規参入のお客様の場合、リスクを最小限に抑えるため1種類、または少ない種類の商品にしぼって販売する「単品リピート通販」というビジネスモデルで事業をスタートさせるケースが多いのですが、このような場合でも弊社ではしっかりとトータルサポートさせていただきます。
コールセンターに届くお客様の声をフィードバックしたり、色んなサポートをしながら、その商品がどんどん成長していけばOEMとしての生産も増えて成長しますし、物流周りの業務もどんどん大きくなります。
このように「商品を育てながら一緒に成長していきましょう」と言えるのが、うちの強みだと思っています。「共存共栄」というワードをとても大切にしていますね。
─ 「御社はこうした方がいい」といったコンサルティングのような具体的な提案もされるのでしょうか。
高砂:弊社の営業はコンサルティング型で、売り方などを含めた事業計画のサポートの段階から入り込んで行っています。
─ 天真堂さんのような会社は珍しいですよね?
高砂:同業で、ビジネスモデルが近い会社さんはあるようなのですが、うちがトータルサポートの形を最初に始めたので、大変有難いことに「弊社もそういうビジネスモデルにしたいです。」とおっしゃっていただくことがあります。
─ 数年前に物流やコールセンターの一体化をして、現在の形になった。ということですが、元々、前社長がそういう思いを持たれていて、実現に近づいていったのでしょうか。
高砂:そうだと思います。目標としていた「ワンストップで、通販に必要な機能を全部一括で提供するビジネスモデル」は実現できているので、次は海外への展開、海外への進出サポートを目指しています。
─ 海外の進出サポートというのは?
高砂:簡単に言うと、「海外で売るためのサポートをします。」というようなことです。
─ 海外進出を希望しているお客様はいらっしゃいますよね。でも何から始めれば良いのか、と。
高砂:多いですね。海外で化粧品を販売する場合、成分規制が異なる為商品開発の時点で海外仕様にしなければいけません。
更に許認可の手続きや、商習慣が異なる中での販路開拓など販売までのハードルは数多くあります。
弊社にサポートをお任せいただければ、煩雑な業務に手を煩わせることなく海外事業立ち上げが可能です。
─ コールセンターの仕事の内容はいかがでしょうか。
高砂:楽しいですが、難しいですね。
私はSV(スーパーバイザー)職で入社したのですが、SV職はオペレーターの研修や育成、センター全体の監督も行う、いわば“中間管理職”の位置づけです。年齢に関係なく、自分の権限で采配を振るうことが出来たため、とてもいい経験になったと思います。
自分自身がキャリアアップしていく中で、また自分のチームが出来た時に、絶対に役に立つ経験だったなと。それはとてもメリットだなと思っています。若い子にもそういう話をすることがあります。
─ 高砂さんより年上の方もいらっしゃると思いますが、コミュニケーションを取る上で、工夫されていることはありますか?
高砂:以前は、そういうことを考えた気もしますが、今はもう何も考えてないです。
─ それはなぜでしょうか?
高砂:最初に働いたコールセンターに年上の方もたくさんいらっしゃったので、立場が違う同僚とのコミュニケーションの方法が自然に身についたのかなと思います。コツは「フラット」に、ですね。
─ 「フラット」とは?
高砂:例えばですが「忖度」しないというか。上司の指示に従わないというわけではなく、人によって対応を変えない、ということですかね。
業務上の管理監督を行う仕事ですが、コミュニケーションの取り方も仕事として工夫しなければいけないと思っています。ありがたいことに幅広い年代の方がいらっしゃるので、いつの間にか感じ取ってやってこれたのかもしれません。
─ 今まで仕事していて一番嬉しかった、熱くなった、という出来事はありますか?
高砂:それは、新たにこのセンターが立ち上がり、新規でコールセンターの業務を始めて、形ができたということですかね。前職ではサラリーマン的な仕事だったのが、ここでは「自営業のおっちゃん」になった気分でした(笑)
─ 「自分が中心になってやっていることが大きくなって」ということでしょうか?
高砂:まだこれからも大きくしなければいけないのですが、0から1になった瞬間が1番嬉しかったですね。1を10にするよりやっぱり0から1。そこがとても辛いところでもありましたが。
─ どんな大変なことがあったのでしょうか。
高砂:全部を自分でやらなければいけないという。もうどうにもできない状況もあったり。
求人募集、労務管理から業務の設計、お客様の対応、新規の立ち上げなど…ゼロから調べたり、役所に問い合わせたり、色々やりましたね。
お陰様で協力してくださる会社さんも増えて、何とか形にできました。
─ 今はどういうところに力を入れてらっしゃるのでしょうか?
高砂:よりきめ細やかにお客様に対応していきたいと思っています。
僕の尊敬する上司と一緒に、社内の文化づくりにも力を入れていますね。
「企業文化は戦略に勝る」と言う有名な言葉がありますが、それは本当だなと思います。
─ 「天真堂がいい」というお客様が沢山いらっしゃると思いますが、どういったところで選ばれているのだと思いますか?
高砂:端的に言うなら「人」でしょうか。例えば、コールセンターのお客様の中には、「○○さんがいるから御社にお願いしています」と言ってくださる方もいます。
─ 1番お客様が喜んでいると感じるのはどのようなところでしょうか?
高砂:具体的な話になりますが、通販の中では、当社ではコールセンターと物流が入口から出口まで一括で、間を繋ぐシステムを含めて一括でサポートできます。そこに1番メリットを感じていただいているのかなと。そこがバラバラなのと一括なのとでは、全然違うのではないでしょうか。
─ 御社のサービスをどういうお客様に知っていただき、どういうお客様に使ってもらいたいと思いますか?
高砂:考え方の根底が同じお客様でしょうか。お互いのビジョンに共感して、「共存共栄」ができるというのは大きいと思います。
業界や商材は何でもいいんです。困っている時に協力し合えるだとか、根本的な経営指針が一致するお客様と一緒に成長していきたいですね。
それと、柔軟な対応を求めているお客様です。
コールセンターとは基本的には同じことをずっとする、つまり平準化すればするほど良いと言われる部分がありますので、大きいお客様は融通が利かないと思うんです。
うちはお客様の立場に立った「きめ細かいサービスの提供」というのを目指していますので、そういうところでお困りのお客様にはお役に立てるのかなと思います。
─ 今の時代は特にインフルエンサーさんの影響で、急に商品が売れて物流が増えて、ということもあると思うのですが、そのあたりの対応はどうされるのでしょうか。
高砂:物流ではキャパシティに限界がありますので、そこはどうしようもない部分ですね。
重要なのは「お客様にきちんとご案内する」というところでしょうか。
弊社の場合、物流とコールセンターが密に連携しているので、仮に配送に遅延等が発生した場合でも、速やかにコールセンターからお客様にご案内が可能です。
事前に、入荷予定と納期などをお客様にご案内し、その後も窓口のコールセンターやメールでフォローの対応ができているか、ということが1番重要だと思います。
─ そうですよね。それでお客様は安心されますよね。
社内の文化づくりや海外進出支援など、今後の天真堂さんの展開がとっても楽しみですね。
貴重なお話をありがとうございました。
会社名: | 株式会社天真堂 |
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HP: | https://tenshindo.ne.jp/ |
設立年月日: | 1986年12月2日 |
代表者: | 代表取締役社長 松﨑 淳 |
事業内容: | 医薬部外品OEM |