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営業ノウハウ・セミナー

【16日目】「法人向け商材営業」の正しい営業管理。新規顧客開拓は
非見込み客管理にあり

「ターゲット企業を将来顧客ととらえると断られることはひとつの通過点」

営業担当者が電話営業を苦手だと感じるのは、「お客様から断られたくない」ということが理由のひとつのようです。誰だって断られるのは良い気持ちはしませんし、できることなら断られずに話を聞いてもらいたいものです。とはいっても、電話営業では断られることが日常茶飯事です。たまにお客様の気分を害してお叱りを受けたりすると、なおさら電話をかけるのが億劫になってしまいますね。

しかし、当社の営業担当者に限っていえば、電話営業で断られて落ち込む担当者は一人もいません。みんな楽しそうに電話をかけています。その理由をたずねてみると、「断られたら、後でまたかけ直すだけ」「なんで断るんだろう? 私の話を聞けば良いことがあるかもしれないのに、と腹立たしい気持ちになる」と涼しい顔で答えます。

この違いはどこからくるのでしょうか。おそらく当社の営業担当者たちは、ターゲット企業を将来顧客だと捉えているのです。「いつかこの会社をお客様にする」という意識で一件一件の電話をかけているので、断られることはひとつの通過点でしかないのです。

しかも、断られた会社のリストが増えるほど、アポイントが獲得しやすくなることを彼らは知っています。断られた会社の情報は、非見込み客としてその後も管理されていきます。非見込み客のなかには将来顧客が含まれていますから、非見込み客が増えていくことは、将来の売上を助ける"貯金"が増えていくようなものなのかもしれません。だから、断られても落ち込むことはないのです。

また、受注するまでフォローし続けることを前提に電話をかけていくと、断られた電話からも多くの有益な情報が得られるものです。

「電話の内容はすべて記録し、アポイント獲得率を高める。」

たとえば、一月に第一回目の営業電話をA社にかけたとします。すると、「いまはちょっと忙しい。二~三カ月すれば話くらいは聞けるかもしれない」と断られました。二カ月後にふたたび電話をかけると、「五月なら時間が取れるかもしれない」とまた同じように断られるのですが、「じつはいま、こういうことに悩んでいるんだよね」と自社の商品以外のニーズを聞き出すことができました。そして五月になったら、約束どおり電話をかけます。「五月になったらお話ができると言われたので、お電話しました」。

それを繰り返していくと、電話のたびにお客様の情報が増えていきます。担当者の名前、部署名、メールアドレス、上司の名前なども聞けるかもしれません。

電話でやりとりした内容は、すべて履歴として記録しておきます。相手の情報が増えれば増えるほど、相手の課題やニーズ、要望に沿ったセールストークを展開することができるようになるので、相手に興味を持っていただいたり、商談のアポイントが取れる可能性も高まるというわけです。

ときにはこんな裏ワザも使えます。電話先の担当者が不在で、たまたま役員の人が電話に出たとします。名前を聞けば「山田さん」だと言います。この「山田さん」という名前も記録に残しておきます。そして後日、改めて電話をすると、今度は担当者につながりました。「先日、山田さんにもお話させていただいたのですが……」と切り出せば、担当者は「山田さんとも話しているのなら」と思って、こちらの話を聞くモードに入りやすくなります。

履歴の積み重なった顧客リストは、将来の売上を助ける貯金のようなもの。貯金が増えれば増えるほど、こちらの有利に営業活動を進めていくことができるのです。

それに、人間の心理として、二、三回断り続けると「ちょっと悪いな」という気持ちになるものです。「一度くらい話を聞いてもいいかな」と思ってもらえたらチャンスです。アプローチを続けていけば、いつかはこういうチャンスも訪れます。

なかには、「いまは必要ないな。一年後なら考えてもいいけど」とおっしゃるお客様もいます。先方としては適当に断ったつもりかもしれませんが、このようなお客様は、我々にとってはかなり高い確率でアポイントにつなげられるお客様です。

一年後に再び電話します。「この時期ならご検討の可能性があると伺っていたので、お電話しました」。一年前のやりとりを覚えていて、忘れずに電話をかけてきた営業担当者に対して、邪険に断るお客様はそれほど多くはありません。かなり高い確率でアポイントが成立すると思いますよ。


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