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営業ノウハウ・セミナー

【3日目】営業管理の常識は90%間違っている。会社の将来を見据えた「顧客管理」とは?

「営業のプロでさえ、断られた会社の情報を管理していない。」

当社に、生命保険の営業担当者が飛び込み営業に訪れたときのことです。

応対したのは、当社の20代前半の若い女性スタッフAさん。生保の営業担当者は、Aさんに生命保険への加入を勧めようとしますが、彼女は生命保険を買うつもりがまったくなさそうです。

さて、この営業担当者は、生命保険を買ってくれそうにないAさんと当社の情報をどのように管理するのでしょうか。近くを通りかかった私は、営業担当者に聞いてみました。

「この辺りの飛び込み営業をやっているの?この建物だけでも4つの会社が入っているから、顧客管理が大変でしょう?」

「そんなことはありません。ほとんどの会社では断られるので、全部を管理する必要もありませんから」

要するに、1日に何十社、何百社と飛び込み営業をしても、断られた会社は管理する必要がないから顧客管理はそれほど大変ではない、というのです。その営業担当者は、私と話をしながら「この会社の社員は買ってくれそうにないな」と思ったのでしょう。会社の代表者である私の名前も聞かず、名刺交換もせずに帰っていきました。

私は1日目に「興味を示したお客様も、断られたお客様も、お客様はすべて『いずれ買ってくれるお客様』」だと申し上げました。しかし、営業のプロと言われている生命保険の営業でさえ、断られた会社の情報を管理していないんですね。ましてや、一般の会社では管理していないだろうということは想像に難くありません。

なぜ、断られた会社の情報は管理しないのか。その理由を探るには、「顧客管理とは何か」という問題を考えてみる必要がありそうです。

「見込み客=現在顧客、非見込み客=将来顧客」

図3-1)「見込み客」と「非見込み客」ここで、営業のアプローチに対して興味を示した会社を「見込み客」、興味を示さない、あるいは断られた会社を「非見込み客」と呼ぶことにします。
大抵の営業現場では、見込み客しか管理していません。なぜなら、「顧客管理とは現在顧客を管理すること」だと考えられているからです。「現在顧客」とは、いますぐの売上に直結する顧客のことで、すでに受注実績のある「既存顧客」と、近々案件化されたり受注が見込まれる「見込み客」で構成されています。電話営業で興味を示した顧客や、問い合わせや見積依頼があった顧客なども見込み客に入ります。「近い将来、受注が見込まれるお客様こそが一番大事」だと考えている営業現場がほとんどなのです。

見込み客が現在顧客なら、非見込み客は「将来顧客」と定義できます。将来顧客とは、現在は受注の見込みが低いけれども、将来はお客様になってくれる可能性のある顧客のことです。「いまはいらない」と断られた会社や、まったく興味を示さなかった会社などが将来顧客の分類に入ります。

そして、ほとんどの営業現場では、将来顧客という観点から顧客管理がなされていないのです。

いますぐに買ってくれそうなお客様は大事にするけれども、それ以外のお客様に対して「いつか買ってくれる日まで気長に付き合おう」とは思っていません。そもそも、今月や今期の売上のことを考えるのに精一杯で、将来顧客の管理にまで手がまわらない、というのが本音のところでしょう。

その結果、何が起きているかというと、3年後や5年後、10年後の売上に困るのです。

図3-2)見込み客VS非見込み客つねに「いますぐ買ってくれるお客様」を探し続けなくてはならないので、毎年毎年、新規顧客開拓に駆けずり回らなくてはならない。現在顧客だけを管理している会社は、「顧客管理をしっかり行っている」と言いながら、じつのところ3年後、5年後のお客様に困っている状態なのです。
会社は3年後、5年後、10年後も続いていきます。会社が将来も発展していくためにはどのような顧客管理をするべきか、一度真剣に考えてみてください。いまのお客様も大事ですが、3年後、5年後、10年後のお客様も大事です。すぐに買ってくれそうな会社も、まったく興味を示さなかった会社も、「いずれ買ってくれるお客様」として大切に管理しないといけませんね。


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